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 CEO Message

  私は今60歳なので、博報堂の同期入社が定年ラッシュを迎えています。半分くらいは定年再雇用で、それ以外は新たな旅立ちといったところでしょうか。再雇用は全員給料3分の1以下だったのが、制度が変わりごく一部定年前と同レベルでもらえる人も出てきているとか。喜ばしい事です。何度も記していますが、60まで一つの大企業にその一身を捧げてきた人が外に出るなど、リスク以外の何でもありません。意気揚々とベンチャー系に転職、あるいは起業した人々は連絡が取れなくなりました。おそらくうまく行っていないというか、既に職を離れているのではないでしょうか。うっかりと起業した人などは、40年間の貯えを無くしてしまっているかもしれません。

 

 先日も博報堂時代の同僚と飲み会があり、先輩から「お前のとこは太陽光なのになんでうまく行っているの?」と質問されました。不思議に思ったので深掘りして聞いていくと、太陽光バブルで儲けたとある地方の社長が趣味で色々と会社を作り、先輩はそのうちの一つの芸能&コンテンツ系の雇われ社長になったそうなんですね。景気がいい時は社員が沢山いて、オフィスも行くメシ屋も超高級。ところがしばらくすると一転して経営悪化し、先輩が社長だった会社も突然たたまれ、後始末でかなり自腹を切らなければならなかったとか。ひどい話ですよね。なぜそのグループが急に経営悪化したかというと、どうやら電気の小売りに手を出してしまったらしいのです。昨今のエネルギー高で電気の仕入れと売りの間で莫大な差損が発生し、一気に事業と社員の整理に追い込まれた。私は先輩に以下の説明をしました。BtoCビジネスである電気の小売りは絶対に手を出してはならない領域だと決めていた。祖業である発電所の開発・販売に特化し、そこで上げた利益は全て発電所の自己所有に充てた。余計な社員は雇わず、アウトソーシングで切り抜けた。「なるほどね」と先輩は頷いていましたが、私も「なるほどね」と思いました。件の太陽光社長は、経者営として「してはならない集の禁」を全て犯してしまっているのです。

 

 同じように太陽光発電事業を行っても、経営によってこれだけ差が出るのだなあと実感しました。今後も事業リスクに対して敏感で、すぐに対処する姿勢を忘れないよう気を引き締めていきたいと思います。また元の会社の仲間たちには、60歳から新しい夢など見ず、多少扱いは悪くても40年間やってきたように耐え忍んで大企業のお世話になる事を、心の底からおススメ致します。

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