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 CEO Message

2018年11月  FIT終了後のエネルギー

 

 丸紅がベンチャー企業と組んで、住宅太陽光発電の余剰電力の買い取りを行う会社を立ち上げると発表しました。初年度である来年、3万件の契約を目指すとのこと。中部電力はLooopと組んで、NTTスマイルエナジーなども同様の事業を行うとアナウンスしています。

 

 なぜ多くの会社が余剰電力の買い取り事業を始めるのか。実はFIT・固定価格買取り制度は、一般住宅用で2009年に導入され、買い取り期間が10年間と定められているため、来年の秋からFITを卒業したエネルギーが発生するのです。その数40万件程度とかなりなボリュームになります。電気の小売り事業者にとっては新たな電源となりますし、RE100などの動きがグローバルに広がっていく状況なので、今後再エネは付加価値をつけたプレミアム価格で取引ができるのではないか、という読みもあり各社動いているのです。

 

 今後電気産業は、巨大な電力会社が全てを統括する時代から、エリア・電源の種類・設備など分散の時代へと転じます。小規模な再エネの発電所、燃料電池などを使用した蓄電、AI・デマンドレスポンスなどによる省エネから生じる電力、小規模電力の需要抑制システムなど、様々な電力リソースをまとめ、ひとつの発電所のように機能させるというバーチャルパワープラントへとシフトしていきます。各社が狙っているのは、そういった変化に対応するビジネスを取り込んでいく、再エネ電力におけるプラットフォーマーなのです。

 

 しかしちょっと残念なのは、上記のプレイヤー各社が、具体的に卒FIT再エネをいくらで買い取るのか価格提示がされていないことです。FIT価格はkWあたり48円だったので大幅に安くなってしまうことは仕方ありません。個人的には、今の一般家庭の電気代の約半額、12円くらいで取引されないかなあと考えています。15年後には野立ての再エネが大量に発生しますが、我々発電事業者にとってある程度の価格が見込めないと事業継続のインセンティブが生まれません。12円であれば、ギリギリ設備を維持・補修していける価格かなと思うのです。実際にいくらで買い取られるのか、新しい市場を楽しみにしています。

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