CEO Message

 2021年暮れ、政府公募の洋上風力プロジェクト第1ラウンドのコンペは三菱商事が落札しました。当該コンペの対象地は秋田県能代市、千葉県銚子市など。決め手は価格で、1kW11.99円は2番手と5円以上の開きがあったそうです。競合他社からは「(落札価格で応札すれば)年数十億円の赤字が出る」との声も。三菱商事はアマゾン、キリンと組みましたが、この2社は既に三菱商事系企業とPPA(電力購入契約)による再エネ電力の供給で連携すると公表しており、NTTアノードエナジーと三菱商事は、蓄電池などを活用した電力需給システムやNTTグループ企業への電力供給で連携していくことを表明しています。三菱商事コンソーシアムが低価格で札を入れたのは、将来的にこうした大口需要家に電力を供給することで、FIT価格に加えて環境価値のプレミアムを見込めると想定しているとのこと。

 

 こうした取り組みは大企業にしかできません。割を食ったのは再エネ新興企業のレノバ。 第1ラウンドの秋田沖では、レノバが有力と言われていたようです。レノバは当社と同時期に再エネに取り組み始め、何度かお邪魔したこともあるので親近感があります。その後金融ネットワークと結びついて急拡大。今や年間売り上げ300億円のプライム市場企業ですが、このコンペの結果を受けて株価は6000円から2000円に下落。時価総額は6000億から2000億に。こういった経緯を見るに、やはり無理して風力に手を出さなくてよかったとしみじみ思ったのでした。

 

 2016、7年頃、太陽光で成功した事業者は「次は風力だ」と、儲けた金で小風力を次々に設置しました。小風力バブルで東北を中心に数多くの土地が売買されましたが、結果は惨憺たるもの。今まで利益が上がっているという小風力発電所の話を聞いたことはありません。そもそも太陽光のように数十年に渡るトラックレコードも無いし、精緻なシミュレーションソフトも無かったのです。そして小風力の先には大規模風力、洋上風力などの有望な市場が見えていましたが、我々には身分不相応。規模がキーファクターとなるマーケットで、我々の様な零細事業者は決して相撲をとれぬ土壌だと考え、風力には一切触らないと当時決断したのです。今は太陽光の売電収入だけで10数年は食っていける状況で、ダイナミックな洋上風力のコンペ話を興味深く聞き流しつつ、アフターFIT太陽光をちょこっと事業化できないか模索する日々。正しい経営判断の上に、余裕の日々があるのです。