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 ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。ヨーロッパにおける主権国家に対する他国の軍事侵攻は、1939年ナチスドイツのポーランド侵攻以来83年ぶり。いかに大きな歴史的事件なのかがわかります。現状だとまさに「戦争」。当初クリミア半島のように数日でロシアがウクライナを制圧して決着するのかと思いましたが、ウクライナ国民の徹底抗戦の意志とアメリカの最新兵器、さらにはロシア軍のモチベーションの低さによってかなり持ちこたえている模様です。

 

 戦闘と並行し、ヨーロッパ諸国は「ウクライナの次は我が身」との当事者意識の高まりと市民の突き上げから経済制裁が重罰化。国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの銀行の遮断が決定し、ロシアの金融・経済がほぼ機能停止する見通しとなってきました。ロシア国債は1日で半値以下となり、利回りは8%から18%に、ロシア中銀の政策金利はなんと20%に。それでも銀行には現金を引き出そうとする市民で長蛇の列ができる様子が報道されています。戦争が長引けば国民の生活が立ち行かなくなり、「ウクライナなんて数日でやっつけて言う事を聞かせてやる。各国も厳しい制裁はできないだろ」と考えていたプーチン大統領の思惑が真裏に出て、政権基盤すら危うくなるリスクが発生し始めました。

 

 ロシアはエネルギー大国で、天然ガス生産量は世界2位、石油は3位。ヨーロッパはガスの4割、石油の3割を依存しています。侵攻当初はあまり強い措置は取れないのでは考えられていましたが、非常に思い切った決定が矢継ぎ早に打ち出されています。ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン・ノルドストームは1.2兆円の大事業で完成済みですが、ドイツが承認せず事業主体は破産の見込み。さらにはイギリス系のBPとシェルがロシアの石油・天然ガス事業からの全面撤退を決め、伴って極東のサハリン2も同様に。元々ヨーロッパではロシアの石油・ガスへの依存を軽減し、再エネ・原発の比重を高めるべきだとの声がありましたが、今回のプーチンショック療法によって一気に覚醒されたと言ってよいでしょう。日本も他人事ではなく、天然ガスの1割はロシアに依存していますし、三菱商事と三井物産はサハリン2の主要株主です。今回のウクライナ戦争は気候変動面からだけではなく、安全保障面からも再エネ拡大の重要性を示唆する歴史的転換点となったのです。