株式会社GEトラスト
グリーンエネルギーのディベロッパー
今月のCEO Message
~ 代表 久保田 誠二のメッセージ ~
地方創生、なんてムリ 2024年 10月
石破さんが総理大臣に就任しました。高市さんを決選投票で逆転勝利しましたが、これは自民党議員が「高市さんはあまりにも右過ぎて不安」という心理が働いたと言われています。党員投票をみると、都市部は高市さん、地方が石破さんだったそうです。石破さんは地方創生を掲げているので、その影響もあるのかもしれません。
地方創生、言うのは簡単ですが決して実現できないスローガンだと思います。経済の主体が農業であった頃、土地があれば農作物が取れるので地方にも経済基盤がありました。工業化の時代、工場周辺に人々が集積し、その周辺の経済が活気づきます。これはTSMCが工場を作った熊本で、現在でもみられている状況です。工業化の次、現在は情報化の時代で、観光地以外の土地の有用性は著しく低下しています。世界的に見ても都市と地方の貧富の差は広がっており、それは経済構造上仕方のない事で、地方にカネをばらまいても何も生まないと考えます。
石破さんは「若い女性に選ばれる地方とは何か」と発言したようですが、禅問答ですかね。若い女性に選ばれる要因、それは仕事がある、子育て環境が良い、キャリア形成・起業できる、など要するに「都市機能がある」事に他なりません。日経は例えとして洋上風力を挙げていますが、洋上風力も実際に稼働し始めたら人手はあまりいらないので問題解決にはならないでしょう。我々は、地方に太陽光発電所をいくつも持っています。地方に固定資産税を年間数百万払っているので、それなりに貢献しているつもりではありますが、太陽光発電所の稼働には人手がいらないし、メンテナンスも自分たちでやっているので地方経済にお金は回りません。経済構造が変わったのだから、本当は都市にお金を集中させて世界と戦っていかないと。でも、選挙があるから政治家はそんなことは言えないのでしょうね。実際は不可能なのに、地方創生なんて言葉が都合よく使われて、またかよって思ってしまいます。
スイスで考えたこと 2024年 9月
8月にスイスに行ってきました。いやあ、素晴らしかった!国土の7割が山で、有名な観光地どこに行ってもアルプス山脈に囲まれています。観光地はいずれも標高2000m前後に位置しているため、涼しく湿気も無い。日本の山の森林限界は2800m程度が多く、どの山も緑に覆われ麓は森になっているため視界は狭くなります。それに対してスイスの森林限界は2000mと低いため、木に邪魔されずに美しい山容が隅々まで見渡せるのです。登山鉄道やケーブルカーも整備され、マッターホルンでは高度3800mまでロープウェイで行けてしまいます。観光立国なので、お金のかけ方がダイナミックな印象。
非常に美しいスイスでしたが、その物価の高さには驚きました。円が一番安い1スイスフラン=175円の時期に行ったのですが、空港でコーラやビールが1本6スイスフラン=1000円!500mlのコーラが1本1000円、日本の7倍です!バーガーキングのキングバーガーはナント1個2700円でした。食事つきのツアーでしたが、軽くワインを数杯頼むとすぐに1万円、ってな感じです。スイスは観光立国なので物価は世界でも有数の高さらしいのですが、さすがに驚きました。2011年に1ドルは80円弱。2024年の今はちょっと前まで160円でしたから、円の価値は10年で半分になってしまったわけです。国力が落ちるのは恐ろしい!2018年に2000万人に達していた日本人の海外旅行者数は、完全にコロナの影響が無くなった今年ですが1500万人弱にとどまりそうです。
半導体、電気製品と次々に輸出産業がダメになり、これから自動車が怪しくなると本当に観光産業がメインになる日本が見えてきます。物価が安い日本の高級レストランやホテルは外国人富裕層に独占され、日本人は片隅でひっそり。メニューも英語がメインという、「全国総ニセコ化」の日が来るのやもしれません。最近は若者の海外への「出稼ぎ」、も増えているとか。落ち目は本当に悲しいですね。
ちなみにスイスでの再エネ割合は3割弱で、その8割は水力だそうです。国土の7割が山、山岳気候、面積も九州くらいしかないとなると太陽光は難しいのでしょう。しかも観光立国ですから、至る所に野立ての太陽光発電所があったら、景観的に厳しい。同じ観光立国でも、太陽光発電は日本の方が盛んなようです。