株式会社GEトラスト
グリーンエネルギーのディベロッパー
CEO Message
ゴールデンウィーク、熊本の発電所に寄ったついでに菊陽町のTSMC(台湾セミコンダクターマニュファクチャーカンパニー)を視察しました。単に車で周囲を流しただけなのですが、畑の中に突如現れる威容を誇る建物に圧倒されました。現代的で巨大な工場とオフィスビルと、のんびりとした田園風景のコントラストが一種異様な印象を生み出しているのです。熊本空港あたりから眺めると、小高い丘にこれらの建築物があり、周辺一帯を支配する「城」を想像させます。
敷地面積は東京ドーム4.5個分、投資額は日本円で約1兆2900億円。新工場がもたらす熊本県内への経済波及効果は今後10年で約7兆、TSMC含む九州半導体産業の設備投資で約20兆円と推計されています。私は知らなかったのですが、九州は豊富な水源や安い電気料金で半導体の生産に適しており、「シリコンアイランド」とも呼ばれ1000社もの半導体関連企業が集まっているそうです。
日本政府も半導体復活と地域経済の活性化を企図し、5000億弱を補助しているとのこと。
実際に、近隣の田舎町に一戸建てやマンションがガンガン建設されていました。菊陽町の宅地の上昇率は20%を超え、新工場最寄りのJR原水駅は閑散とした無人駅だったのが通勤時間帯に行列ができるようになり、新駅の設置が決まったそうです。
黒船にも例えられるTSMCですが、元々は1987年に日本の下請けとして台湾に設立された会社なのです。1990年頃、日本の半導体産業は世界の半分以上のシェアを誇っていましたが、現在は8%程度。太陽光パネルも当初圧倒的に日本製が先行しており、我々がビジネスを始めた10年ほど前は品質の良いのは日本製だったのですが、あっという間に品質も価格も中国製に席巻されしまいました。半導体は何と言っても産業の中核なので、こういったケースを活用してなんとか世界の中心に返り咲いてほしい。熊本でしみじみと実感した次第です。